船舶(総トン数20トン以上)は、船籍港を管轄する法務局に所有権などの「登記」を行うとともに、管海官庁(地方運輸局等)に「登録」の手続きを行う必要があります。
海事代理士は、この「登記」「登録」のどちらの手続きも委任を受けて行うことが出来ます。
船舶の登記
船舶登記の主な申請手続き
所有権保存登記
新船の建造又は輸入船等を取得した場合に行う登記申請
(登記申請を行う場合、船舶総トン数測度の結果を記載した船舶件名書謄本の添付が必要)
所有権移転登記
保存登記・登録が行われた船舶を売買等により取得した場合に行う登記申請
船舶表示変更登記
・船舶の種類
・名称
・船籍港
・船質
・総トン数
・機関の種類及び数
・推進器の種類及び数
・帆走(帆船の場合)
・進水の年月日
・国籍取得の年月日(輸入船の場合)
に変更が生じた場合に行う登記申請
その他
根抵当権登記、抵当権登記、抹消登記等
船舶の登録
船舶の登録とは、船舶の登記をした後に船籍港を管轄する管海官庁に登録の申請を行い、管海官庁が船舶原簿に船舶に関する表示事項及び所有者につき登録することであり、日本国籍を公証する行為及び日本船舶としての権利行使の要件となります。
船舶法
第5条 日本船舶ノ所有者ハ登記ヲ為シタル後船籍港ヲ管轄スル管海官庁ニ備ヘタル船舶原簿ニ登録ヲ為スコトヲ要ス
2 前項ニ定メタル登録ヲ為シタルトキハ管海官庁ハ船舶国籍証書ヲ交付スルコトヲ要ス
[日本船舶の範囲]
・日本の官庁または公官署の所有する船舶
・日本国民の所有する船舶
・日本の法令により設立された会社(株式会社、有限会社、合資会社又は合名会社)であってその代表者全員及び業務を執行する役員の3分の2以上が日本国民であるものの所有する船舶
[船籍港及び総トン数の測度]
日本船舶の所有者は、日本に船籍港を定めその船籍港を管轄する管海官庁に船舶の総トン数の測度の申請をし、測度を受けなければなりません。
船舶の総トン数は、「船舶のトン数の測度に関する法律」により算定されます。
総トン数は、船舶法で使用されているトン数で、船舶の大きさを表すための指標として利用され、「船舶のトン数の測度に関する法律」により測度を行い、船体主部である上甲板下の容積と上部構造物の容積を合算し、係数を掛けて出した数値に「トン」を付したものです。
これ以外に、容積で表すトン数として国際総トン数、純トン数、責任トン数、パナマ運河トン数、スエズ運河トン数があり、重量を表すトン数として載貨重量トン数、排水量トン数等があります。
船舶登録の主な申請手続き
船舶登録申請
所有権の保存登記がなされた船舶の登録申請
変更登録申請
- 船舶登録された船舶を売買等により所有者名が変更し若しくは当該船舶の船籍港に変更が生じることとなった場合に行う登録申請
- 船名・船籍港・総トン数・容積等登録事項に変更が生じた場合の登録申請
船舶原簿
船舶の新規登録の申請が提出されると、船舶原簿に登録されます。これは船舶の戸籍にあたるもので、その船舶に関する表示事項及び所有者につき変更があった場合は書き換えられ、その船舶の経歴が記載されます。
船舶国籍証書
船舶国籍証書とは、その船舶が日本国籍を有すること及び当該船舶の同一性を証明する公文書であり、その交付を受けなければ船舶を航行させることは出来ません。
船舶国籍証書の検認
船舶国籍証書の検認とは、次回検認期日までに船籍港を管轄する管海官庁(運航の都合による理由があれば最寄りの管海官庁・船舶が外国にある場合検認延期等)で船舶国籍証書と船舶原簿に記載されている事項について実質関係と一致するか否かの照合(実船検認という)を受けなければなりません。